ウェルビーイングな職場

ウェルビーイングという言葉はご存知でしょうか。最近、幸福学で有名な慶應義塾大学 前野隆司教授主催の研究会に参加してウェルビーイングについて学んでいるのですが、ウェルビーイングと仕事の関係について書いてみたいと思います。

(2022年9月20日 企画推進室)

ウェルビーイングとは

ウェルビーイング(well-being)とは、

  • 健康
  • 幸福
  • 福祉

と訳される事があります。医療の分野、お医者様が使う場合には「健康」という意味で使われるという風に、微妙に使われ方でニュアンスが変わってくる難しい言葉でもあります。

世界保健機関(WHO)では「健康とは、単に疾病がない状態ということではなく、肉体的、精神的、そして社会的に、完全に満たされた状態にある」と定義されています(”Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”)

幸福(Happiness)は「一時的な幸せの感情」を指す言葉に対して、ウェルビーイング(well-being)は持続的に満たされた状態を意味する言葉です。

では、ウェルビーイング(well-being)な状態とはどういう状態でしょうか?

人間の欲求を満たすものとして「地位財」と「非地位財」に分ける事ができるそうです。

  • 「地位財」とは、収入や物、社会的地位などが該当し、周囲との比較で価値が決まるもの
  • 「非地位財」とは、自由や愛情、感謝、社会への帰属意識といった他人との比較を前提もの

「地位財」による幸せは長続きしないが、「非地位財」による幸せは長続きする傾向があるとの事です。

 

これを裏付ける資料の一つとして日本の国民一人当たりGDPが1960年代から50年で6倍になっているのに対して、人々の幸福度、生活満足度はほとんど変わっていない、もしくは減少傾向との事です。

内閣府「幸福度に関する研究会」報告資料より引用

 

収入が増えても幸福と感じるわけではないという事でね。

では、企業経営と幸福にどういう関係があるのか、という事ですが

研究結果によると幸福感の高い社員はそうでない社員に比べて

  • 創造性は3倍高い
  • 生産性は31%高い
  • 売上は37%高
  • 欠勤率が41%低い
  • 離職率が59%低い
  • 業務上の事故が70%少ない

ということが明らかになったそうです。

「成功するから幸福」だとする考え方もあると思います。これを否定するわけではないのですが、研究の結果から「幸福な人の方が成功する」ことが明らかになりました。

経済産業省も、経営として従業員の健康、福祉に積極的に関与する「健康経営」を紹介しているようです。

出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/main/rules.html)

 

健康、福祉も含んだ「従業員の幸福」に取り組む「ウェルビーイング経営」が

よりよい社会に向けて必要な時代となっているような気がいたします。

関連記事