若干、某心理学の書籍タイトルっぽいですが。「忖度(そんたく)」は、少し前に流行語大賞にもなった言葉です。忖度という考え方は日本特有のものらしく、英語での表現がなかなか見つからないそうです。マスコミでは、「read between the lines」(行間を読む)と通訳されたらしいですが、ちょっとニュアンスが違う気がしますね。
(2021年10月25日 企画推進室)
忖度(そんたく)とは
「忖度は、他人の心情を推し量ること、また、推し量って相手に配慮すること」ですが、特に会社の中で見られるのが上司への忖度ではないでしょうか。
上司の言葉を忖度して勝手に解釈をした結果、やたら作業量が増えてしまったり、無駄な作業をしてしまったり。
逆に言われたとおりの事をやったら「言葉をそのまま受け取るのではなく、行間を読み取らないと」なんていう訳のわからないアドバイスとか指導をされる始末。
上司からすれば、「ちょと大変だけど、やってもらえるか?」なんて聞かなくても、気を遣ってもらって拡大解釈してやってもらえれば、こんな楽な事はないですよね。
それでも、組織として上手く成果が出ていればいいんですが、「忖度」が過ぎれば無駄な作業が増え、正しい判断が行われなくなります。
組織としては内向きのベクトルで物事が進むようになり、「社会貢献」「顧客志向」なんていうのは絵空事で、上司の覚えの良さが重要という体質になってしまう。
「忖度」が悪い訳ではない
昨今の政治と官僚の問題なんかで、「忖度」という言葉がネガティブな印象を与えるようになった気がします。
「忖度」という言葉自体、「他人の心情を推し量り、配慮する」という訳ですから、悪い事ではないと思うのですがいかがでしょうか。
度が過ぎる「忖度」はマイナスですが、相手の思いをくみ取り、その上で自分の思いを伝える。わからない事はわからないと伝え、ちゃんと合意形成を行う。
こう言ってしまうと当たり前の事かもしれませんね。
一昔前であれば「上司」の顔色を窺い、最大限に忖度するというのは出世のために重要なスキルだったのかもしれません。
しかし、今や個人個人がハイパフォーマンスの結果を求められる時代です。
上司からの指示を待つ忠実な部下ではなく、一人ひとりが、会社のミッションに賛同し、自分が納得のできる行動を取る。
納得できないのであれば、上司とも意見をぶつけ合う。
そうして、相互理解を深めていき、チーム全体としても成果を出していく。
とは言え、確かに部下から上司に意見をぶつけるというのは勇気がいると思います。
そこには、しっかりとした「自分軸」が必要になります。
「忖度しない勇気」を持つためには、まず自分軸をしっかりと持つ。上司の言葉にぶれる事のないしっかりとした自分軸を持ちたいものです。