「生産管理」という言葉は聞いた事があるけど詳しくはわからない、というSEも多いのではないでしょうか。製造業に関わった事の無いSEにとっては、「生産管理システム」について聞いたり、調べてみたりしてもピンとこない事があると思います。今回は「生産管理」についてご紹介したいと思います。
(2021年8月10日 企画推進室)
生産管理とは
生産管理について、システム会社が説明しようとすると「生産管理システム」についての話しになる事が多いと思います。
しかし、システムから入っていくと「生産管理」の本質から外れてしまいがちです。「生産管理システム」はシステムを構築する会社によって幅が広く、その機能が生産管理を表している訳ではないからです。
今回はあえて「生産管理システムとは何か」というテーマには触れません。では、端的に「生産管理」とは何か。
これはJISの定義をご紹介するのが正確だと思います。
財・サービスの生産に関する管理活動。
備考
- 具体的には,所定の品質 Q (quality) ・原価 C (cost) ・数量及び納期 D (delivery, due date) で生産するため,又は Q・C・Dに関する最適化を図るため,人,物,金,情報を駆使して,需要予測,生産計画,生産実施,生産統制を行う手続き及びその活動。
- 狭義には,生産工程における生産統制を意味し,工程管理ともいう。
JIS Z 8141 生産管理用語 番号 1215
この説明も少しわかりにくいかもしれませんが、備考を合わせて読むと
品質Q、原価C、数量及び納期D
がポイントですね。これを最適にするために「人,物,金,情報」を駆使する活動、って事です。
また、注目すべきは生産(第二次産業)だけではなくサービス(第三次産業)も含んでいるという事ですね。
生産管理の基本機能
先ほどの生産管理の定義に出てきた品質Q、原価C、納期D から、「生産管理の基本機能」として次の3つの要素があります。
- 品質管理:Quality(品質)
- 原価管理:Cost(原価)
- 工程管理:Delivery(納期)
これを「需要の3要素」とも言います。
生産管理の管理目標
先ほどの「需要の3要素」は顧客が第一優先とするものです。
しかし、生産の現場であれば「需要の3要素」以外にも管理すべき事柄が沢山あります。例えば安全性。
安全に製造できない現場、もくは安全でない製品、というのは考えられませんよね。
他には環境。環境を一切考慮しない製造というのも今時考えらえません。
こういった観点から、一般的な管理目標としてPQCDSMEを挙げる事ができます。
- P(Productivity:生産性) インプットに対するアウトプット。これを最大化する。
- Q(Quality:品質) ユーザが期待する品質を保証する。
- C(Cost:コスト・経済性) 機能に対して安いコストで生産する。
- D(Delivery:納期) 相手が必要な時に必要な量を供給する。
- S(Safety:安全性) 従業員が安心して働ける。製品の安全性を高める。
- M(Morale:士気) 従業員のやる気を上げる。
- E(Environment:環境) 環境に配慮する。
生産管理とは、こういった内容を管理する事になります。
定義に出てきた需要予測,生産計画,生産実施,生産統制を行う手続きというのが、まさに具体的な活動になる訳ですが、続きは次回にご説明いたします。