DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を聞くようになって久しいですが、そのDXを実現するための組織論として「アジャイル型組織」という言葉も聞くようになってきました。「アジャイル開発」はITの世界では有名ですが、どういう関係にあるんでしょう。
(2023年1月23日 企画推進室)
そもそもアジャイルって?
「アジャイル(agile)」とは、「敏捷な」や「機敏な」といった意味です。
アジャイルソフトウェア開発は人間・迅速さ・顧客・適応性に価値をおくソフトウェア開発である(アジャイルソフトウェア開発宣言)。すなわち自己組織的なチームが対話の中で方向性・仮説を見出し、顧客へ価値を素早く届け、実践投入の学びから素早く改善をおこなう在り方に価値を置く。
「ウォーターフォール開発」では、設計書を作成して顧客に確認していただき、問題ないと承認をもらってから開発に着手してテスト完了後に顧客に確認していただくという流れでした。
顧客が動くソフトウェアを触ってみたら、「イメージしていたものと違う」「もっとこうしてほしい」「ここが使いにくい」などの課題が沢山みつかります。
しかし、開発側としては承認をもらった設計通りに作ってテストまでしているので、顧客の要望は全て「仕様変更」という事で、費用と時間がかかってしまう事になります。
また、システム開発の期間が年単位である事も普通で、変化の激しいビジネスの状況に対応しきれないという問題があります。
一方の「アジャイル開発」と言えば、
・短いサイクルでリリースを繰り返して顧客に評価してもらう
・課題があればすぐに修正してリリース、再度評価してもらう
・紙の設計書より動くソフトウェア重視
・変更を恐れない
といった方法で「顧客へ価値を素早く届け」、「実践投入の学びから素早く改善をおこなう」事を重視し、ビジネスの状況変化に応じて、対応を繰り返していくため「他社に先駆けて新しい価値を創造し、競争優位を獲得する」DX時代に適した開発手法だと言えます。
アジャイル型組織とは
アジャイル開発と同じ様に、DXを実現しようとした時に、「既存の組織や既存の業務が対応していない」といった場合でも、素早く適用するための組織論になります。
逆に、従来の主流と言えば「ピラミッド型」ではないでしょうか。
こちらは組織間は縦割りとなっており、基本的には組織毎にトップダウンで命令が上から下へ流れます。
元々は軍隊で採用されていた「ピラミッド型組織」は、大勢の人間を束ねて目的に向かって推進するのに非常に合理的な構造だと言えるでしょう。
しかし、DXが叫ばれ、時代の変化は著しいものがあります。
一旦作成されたピラミッドは、小さなピラミッドが集まった形をしており、全体として強固な一枚岩を形成しますが、一方で簡単に構造を変えられないという弱点があります。
IT技術を使ったDXで小さな企業であっても大きなビジネスを実現する時代となり、このような小さな企業の機敏さに大きなピラミッド構造の組織が対抗できない事態が起こりつつあります。
アジャイル型組織はフラットな少人数のチームで構成されており、チームが「計画の重視では無く、実行しながら改善を加えていく」点が特徴です。
まさにアジャイル開発を行うチームの在り様ですね。
最近のニュースでも、アジャイル型組織を導入する企業が紹介されていました。
リコーやKDDIが事業部門にも「アジャイル」導入、組織はどう変わるのか
いろいろ課題もあるようですが、時代に合わせて変化していく事が何より大切ですね。