キャリアデザイン、キャリア構築。「キャリア」という用語はいろいろな場面で出てきますが組織内で考えた場合、キャリア構築はどのように考えればよいでしょうか。今回はキャリアコンサルタントの視点から、組織内キャリア形成についてお伝えさせていただきます。
(2022年11月14日 企画推進室)
変わりつつある会社と社員の関係
終身雇用が盤石だった時代、組織が社員のキャリアの責任を担っていました。
- 組織が社員のキャリア形成の責任を負う
- 組織が社員の教育を行う
- 経験年数に応じて組織内のポジションを確保
- 社内の職務遂行能力を重視
終身雇用が崩れた今、会社と社員の関係は変化しています。
- キャリア形成は個人の責任
- 組織は社員に教育の機会を提供する
- 経験年数だけではポジションが確保されない
- 社外でも活躍可能な人材が求められる
これからの時代は「エンプロイアビリティ(雇用されうる能力)」が求められるようになります。
組織内だけで通用するスキルにたけた人材ではなく、主体的・自律的に行動ができ、積極的にスキル拡張を行い、組織の外でも活躍できるような人材が求められます。
一方でそのような人材は、当然他社でも通用する人材な訳ですから、会社はエンプロイアビリティの高い人材からも選ばれる企業である必要があります。
このような意味で、会社と社員は「対等な関係」の時代になっていくと言えます。
では、キャリア構築、キャリア形成とはどのように考えればよいでしょうか。
組織から見た側面と個人から見た側面がありますが、基本的には「WILL、CAN、MUST」を軸に考えればよいでしょう。
- 私はどうなりたいのか?(WILL)
- 私は何ができるのか?(CAN)
- 私は何をすべきなのか?(MUST)
WILLは価値観です。これは、個人の価値観と組織の価値観があると思います。
まったく受け入れられない価値観どうしであれば考え物ですが、双方の価値観の交わる部分が、目指す方向といえるかもしれません。
CANは能力。自分の強みや弱み、経験です。どういう能力を伸ばしていくのかといった事を考えていく必要があります。
MUSTは求められている役割。組織や社会から、どのような事を求められているのか、という点を踏まえる必要があります。
組織の視点と個人の視点を鑑みて、自分自身のキャリアをどのように構築していくかを考える事が組織内キャリア形成の考え方です。
重要な点は、個人の成長が組織の成長に繋がり、組織の成長が個人の成長に繋がるという考え方と、双方の視点の調和という点にあります。