アダム グラント氏著書の「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代」という書籍をご存知でしょうか。「与える人」こそ成功する時代、と題しておきながら「与える人」は最も成功に遠いタイプ、とも語られています。今回は書籍からGIVER(与える人)の在り方についてご紹介したいと思います。
(2021年2月8日 企画推進室)
成功するためのGIVERになるという事はWin-Winを選択するという事
まずは、3つの分類について簡単に説明するとこんな感じです。
・GIVER(与える人):惜しみなく与える人。
・TAKER(奪う人):自分の利益を優先させる人。
・MATCHER(与えた分の見返りを要求する人):損得のバランスを考える人。
アダム・グランド氏が上記の3つの分類に該当する人に対して看護師やエンジニアの方を対象に調査を行った結果、最も仕事の成果が悪かったのはGIVERの性質が高い人たちでした。
これ、冷静に考えてみれば当然ですよね。
惜しみなく与えるGIVERは、自分の仕事を後回しにしてでも人の仕事を手伝ったりする訳ですから、その結果自分自身の仕事のパフォーマンスが低下することがあるという事です。
また、営業であればGIVERはお客に最もベストが何かを追求します。GIVERにとって何より大切なのは、相手に与える事。相手の利益です。
ですので強引に営業するような事はしません。
営業の売り上げ平均について、GIVERとTAKERやMATCHERとを比べると、TAKERやMATCHERのほうが2.5倍も高いという結果が出ています。
では、営業トップだったのはとにかく自分の利益を優先するTAKERでしょうか。
それとも損得のバランスを考えるMATCHERでしょうか。
実はいれれでもなく、これもGIVERなのです。ちょっとクエスチョンですよね。
つまり、平均を見るとGIVERの成績は悪いのですが、トップ集団はGIVERが多いという事。
もう少し説明すると、GIVERには2種類あるという事です。
・自己犠牲型(Bottom Giver):率先して自分が犠牲となるため、利益を享受できない
・他者志向型(Top Giver):自分も含めた全員の利益を最大化する
自己犠牲型のGIVERはLose-Winのパラダイムを持っていると言い換える事ができるかもしれません。「自分が犠牲になれば、丸く収まる」という考え方ですね。
そして、他者志向型GIVERはWin-WInのパラダイムを持っていると言えるでしょう。
それって、「MATCHER(与えた分の見返りを要求する人):損得のバランスを考える人」では無いの?って思うかもしれませんね。
ここで間違ってはいけないのは、本当のWin-Winは妥協ではないという事です。
本当のWin-Winはお互いの妥協点、損得のバランス点を探す事ではなく、あなたの案でも無く私の案でもない、より良い第3の案を探そうという考え方なんです。
もちろん、常により良い第3の案が出るわけではありません。しかし1+1を3以上にしようという想いがあればこそ、Win-Winに至れるのではないかと思います。
なかなかに深いGIVERという在り方ですが、自分がGIVER、TAKER、MATCHERのどの要素が強いか。自分のどこを改めるべきなのか。
改めてゆっくり考えてみるのも良いのではないでしょうか。