12月7日、中小企業診断士2次試験(筆記)の結果発表がありました。この難関試験は1年以上の時間をかけて試験に挑む方が多く、結果発表に喜ぶもの、涙するもの、数々のドラマがあります。
(2018年12月10日 企画推進室)
中小企業診断士とは
中小企業診断士制度は、中小企業者が適切な経営の診断及び経営に関する助言を受けるに当たり、経営の診断及び経営に関する助言を行う者の選定を容易にするため、経済産業大臣が一定のレベル以上の能力を持った者を登録するための制度です。
中小企業診断士は、まず企業の成長戦略の策定について専門的知識をもってアドバイスします。また、策定した成長戦略を実行するに当たって具体的な経営計画を立て、その実績やその後の経営環境の変化を踏まえた支援も行います。このため、中小企業診断士は、専門的知識の活用とともに、企業と行政、企業と金融機関等のパイプ役、中小企業への施策の適切な活用支援まで、幅広い活動に対応できるような知識や能力が求められています。
という事で、経営コンサルタントに関する唯一の国家資格です。
1次試験は7科目(企業経営論、運営管理(店舗運営管理・生産管理)、財務・会計、経済学・経済政策、経営法務、企業情報システム、中小企業経営・中小企業政策)を2日間かけて受験し、全ての科目で4割以上かつ合計で6割以上の成績で2次試験の受験が可能です。
2次試験は、中小企業の診断及び助言に関しての筆記試験、つまり書面によるコンサルティングを行います。組織・戦略やマーケティング、製造業、会計などに関して事例企業に対する筆記試験になるのですが、この試験が曲者です。
「正解が発表されない」試験なのです。
過去問を分析しようにも、正解が発表されていないため、書籍や受験指導校に至るまで、解答が別れてしまうという世にも珍しい試験であり、まさに解答のないコンサルタント試験に相応しい内容と言えなくもありません。
そんな高難度資格である中小企業診断士には1年かけて準備する方が多く、5年以上も受験に失敗し、そしてチャレンジを続けている、という方も珍しくありません。
しかし中小企業診断士は名称独占資格であり、独占業務はありません。つまり、弁護士や行政書士のように資格が無いとできない仕事というのが一切無く、中小企業診断士が行える事はこの資格を取得しなくても行う事が可能だという事です。
では、なぜそんなに苦労してまでこの資格を目指すのでしょうか。
社会的意義に共感する
中小企業診断士の学習を続けるに従い、日本という国が中小企業によって成り立っており、多くの中小企業が課題を抱えている事を知ります。
そして自分が中小企業に対して、ひいては社会の役に立てるという、この資格の社会的意義に共感する事で資格取得を目指さずにはいられなくなるのでは無いでしょうか。
何よりスキルアップを実感できる
2010年の出典になりますが、J-NET21の記事によると、1位が「自己啓発のため」、2位が「社会的評価を得るため」、3位が「独立開業したいため」という理由が続きます。
資格取得を目指すきっかけはいろいろあるのでしょうが、いざ学習を始めると、ビジネスマンとしてのスキルアップを実感できるというのが大きいと思います。
これだけの知識を体系だって学ぶという機会はそうないと思います。そして学習を続ける事で、明らかにスキルアップを実感できるようになります。
この資格を目指す方を応援したい
今年2次試験を受験した友人から「落ちました」というメールが届きました。
しかし、その友人は私に「ありがとう」という言葉と、養成課程(土日を中心とした中小企業診断士の資格取得が可能な登録養成機関。大学等で行われ1次試験合格者が受験可能)を受験するが、落ちれば来年もう一度チャレンジすると語りました。
私は一昨年合格し、今年一年間受験生を支援する団体に所属しておりましたが、受験生には一人一人ドラマがあります。
弁護士や医者のような、すでに立派な資格を持っていながら中小企業診断士を目指す方から、親から会社を引き継ぐ2代目社長、そして大学生ながら大学を1年休学してまで中小企業診断士を目指す方までおりました。
そして、全員が合格に向けて熱い思いを持っています。
先程の友人には、心から合格してもらいたいと願うと共に、同じようにこの資格を目指す方を心から応援したいと思います。