「働き方改革関連法案」が2018年6月29日に成立しました。この法案により、年次有給休暇の取得が義務化される事をご存じですか。
(2018年11月22日 企画推進室)
年次有給休暇取得の義務化とは
使用者は10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、毎年5日間の年次有給休暇を取得させることが義務付けられました。
この法案では、2019年4月以降、最低5日は社員に休暇を取らせないと労働基準法違反となりますので、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられます。
今まで、有休休暇はあったけど使用したためしがない、という方には朗報なのでしょうか?
有給の取得率
厚生労働省の「労働条件総合調査」によれば、日本の有給休暇消化率は49.4%だそうです。日本では病気の時ぐらいしか、有給休暇を使った事が無いという方も多いのではないでしょうか。
イタリアで75%、フランスでは100%と言いますから、海外との休暇についての考え方の違いに驚かされます。
日本では、勤勉が尊ばれる風潮があり、「休む事が悪」「休みにくい雰囲気」「周りに迷惑がかかる」という文化が根付いている気がします。
本田技研工業株式会社では、創業者の本田宗一郎氏の「よく働き、よく遊べ」の精神をもとに労働時間短縮への取り組みを進めています。結果として、過去3年平均の取得率は99.6%という脅威の数字にいたっています。
休暇の意味
企業にとって、働く個人にとって、休暇とはどういう意味があるのでしょうか。
リフレッシュして労働生産性を高めるという意味もあるでしょうが、休暇によって「個人が大切にする価値観」の違いが大きくなり、「多様性」が生まれる事が重要なのではないでしょうか。
いろいろなタイプの人間が集まる事で、シナジーが生まれ成長が加速するのだと思います。そのメリットは企業にとってだけではなく、個人の成長の面でも重要だと思います。
休暇中、もちろん仕事と関係のある勉強やセミナーに参加するのでもかまいませんが、趣味であるとか、ボランティアであるとか、仕事とは関係のない事に取り組んでみてはいかがでしょうか。
たとえば、ダイビングや栄養士の資格を取る、地域のボランティア活動に尽力する、映画を観まくって評論サイトを立ち上げる。大切な事は、「よく働き、よく遊べ」のとおり、休暇を充実させる事だと思います。
いろいろな経験が、個人を成長させる事につながると思います。そして、それが組織を成長させることになるのだと思います。
私の知り合いで、30代にしてマンションの管理組合の会長になり、休日には組合の仕事に没頭し、数々の改革を成し遂げた方がいます。その経験から、いくつかのマンション管理運営に関するセミナーに呼ばれ、登壇するまでになりました。そういった経験は、きっと本業の方にもプラスになっていると思います。
この法律でどう変わるか
話は有休休暇取得の義務化に戻しまして・・・
本来、有休休暇は労働者の権利であり、取得申請を使用者は断る事ができません。(時期変更は可能です)
にもかからわらず、休暇の取得が難しいという文化の企業がこの法律によってどう変わるのか。
この法律の事をキチンと伝えずに労働者からの申請という体裁で有給休暇の取得日を指定した上に、会社としての休日を減らすような企業が出てこないとは限りません。本来の趣旨を無視した、そのような企業が出てこない事を祈るばかりです。
ちなみにエクステックの有給休暇取得率はというと・・・
2017年度で71%です。
中途採用のページにも記載しておりますが、2015年度は55%でした。しかし予定有給休暇制度など、いろいろな取り組みの結果、2016年度には62%、そして2017年度で7割を超えるに至りました。
まだまだホンダの99.6%には程遠いですが、「よく働き、よく遊べ」の精神を見習っていきたいですね。