請負契約とシステムエンジニアリングサービス/企画推進室

システム開発の現場で、「システムエンジニアリングサービス」とか「請負」と言った言葉を聞いた事はありませんか?

エンジニア目線で率直に言ってしまえば、「マネージャーがそのへん上手くやっといてよ」と思いたくなる事もあるでしょうが、「SESは嫌だな~」なんて事を言う人に、意味もわからず「そうですね~。」なんて言ってたらチコちゃんに叱られそうなので、ちょっとまとめてみる事にしました。

(2019年11月11日 企画推進室)

「請負」と「委託」

まず、契約形態は大きく

「請負」と「委託」に分かれます。

請負は仕事の結果に責任を負いますが、委託は仕事の行為に責任があります。

まとめると次のような違いがあります。

請負 委託
どういった責任を負うか 完成させる義務があり、瑕疵があれば修復する必要がある。 業務を誠実に処理する。
何に報酬が発生するか 成果物 提供役務/労働期間

 

少しぶっちゃけた言い方をすると、請負は結果に責任がある。つまり、どんなやり方だろうと結果よければすべてよし。委託は決められた作業を誠実に行えば結果に責任は問わない。

 

「委任契約」と「準委任契約」

委託の内、法律行為を委託する契約を「委任契約」、それ以外を「準委任契約」と言います。例えば、弁護士に弁護を依頼するのは法律行為にあたるため、「委任契約」に該当します。つまり、エンジニアに関係するのは「準委任契約」ですね。

 

「システムエンジニアリングサービス」とは

では、「システムエンジニアリングサービス(以下、SES)」が何かと言うと、システムエンジニアの能力を契約の対象とした「準委任契約」です。

例えば、弁護士への委託であれば、「勝訴」しなくても、弁護の行為に対して費用を払う必要がありますよね。同じように、たとえ完成したシステムに不具合があったとしても、システムエンジニアがシステムを構築するために能力を発揮する事に報酬が発生することが「SES」です。

つまり、システムエンジニアが決められた作業に従事する事で、そのシステムエンジニアの所属する会社に報酬が入ってくるというものです。ほとんどの場合、発注元(客先)に常駐した形で、発注元の依頼する作業に当たります。また、作業した時間(人月)によって報酬が発生する契約がほとんどです。

 

何だか、派遣契約に似ているような気がしませんか?

労務管理や指揮命令系統などが発注元企業から独立しているというのが大きな違いなのですが・・・。

「請負契約」と「準委任契約」をまとめて「業務請負」と呼ばれる事もあります(「業務請負」は法律的な用語ではなく、定義が明確ではありません)が、実体が分かりにくく、業務請負なのに発注元から直接作業指示があるなど、実体は派遣契約ではないかと見られる事例も多いと言われています。(これを「偽装請負」と呼びます。)

 

大雑把にまとめるとこんな感じです。

(以下の表は法的な文言と慣習が混ざっており、理解しやすさを優先したため正確さに欠けておりますが、ご了承下さい。)

形態 契約 業務委託 SES 特徴
請負 請負契約 契約した成果に責任を持つ。
委託 委任契約 法律行為のみ。
準委任契約 自社の指示で作業を行う。作業そのものや作業時間を契約。
派遣 派遣契約 派遣先の指示で作業を行う。

 

それぞれの契約には、当然メリット・デメリットがあります。

それは会社にとってもエンジニア自身にとっても言える事です。IT業界の契約形態や構造に対する不満、危惧を訴えるようなネット上の記事もありますが、一概にどの形態が良い、悪いとは言えない部分があると思います。

 

別の機会に、そのメリット・デメリットをお伝えしたいと思います。

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