『内定式2020』
(2020年11月 2日 福嶋)
朝夕は少し肌寒く感じる季節になってきました。そういえば最近は
秋に虫の音を楽しんでいる記憶がありません。
周りに秋の虫がいないのか、日々の忙しさで気付いてないのか、
ゆっくりと秋の音を楽しんでみたくなりました。
10月は毎年恒例で来年四月に入社予定の人達に集まってもらい
内定式を行います。今年はコロナ禍の状況でオンライン内定式に
しようか迷いましたがご足労を頂くことにしました。
安全を優先し、内定式の出席者を減らし、お弁当の食事会にして
恒例の懇親会は行いませんでしたがそれでも直接顔を合わせる
懇親会にして良かったと思いました。
コロナ禍が落ち着いたら埋め合わせしますので少しお待ち下さい。
内定式の社長挨拶でどんなことを話したのか私も忘れないために
今年もブログで紹介をさせて頂きます。
―― 『内定式2020』
こんにちは。「内定者の皆さん、本日はおめでとうございます」
改めまして(株)エクステック代表の福嶋でございます。
例年だと夕方から内定式を行い、その後に食事、皆さんと従業員
の人達との距離を縮める懇親会へと続くのですが、コロナ禍の
ため今年は人数を減らし安全最優先の内容にさせて頂きました。
内定式の社長挨拶という事ですが、毎年社長挨拶は雑談程度
のものなので気楽に聞いて下さい。
エクステックの拠点は大阪と東京にあります。今年はその大阪
と東京の違いについて私の個人的な見解も含めお話しをさせて
頂きます。
突然ですが、皆さん鰻好きですか?
ご存知の方も多いと思いますが、関東は背開き。関西は腹開き
です。理由を知っている人いますか?
その理由は、「江戸では切腹をイメージするから背開き」「関西は
腹を割って話すから腹開き」とも言われます。
関東のお店の多くでは、串を刺し、蒸してからつけ焼きをします。
一方、関西は串を刺してじっくりと焼き上げます。
関東の蒲焼は油が落ちてふっくらであっさりしています。関西は
油がしっかり乗った味わいです。
どちらも好きですが私が色々と食べ歩いたイチ推しはエクステック
の神田事務所近くにある近三というお店です。
150年続く老舗でサッカーの解説者松木安太郎さんの御実家と
しても有名です。
私の未熟舌だけだと味に不安がありますが実家が百数十年続く
老舗の鰻屋の人と食べ歩き、日本の養殖業界をけん引している
会長も「これは美味しい」と認めた味なので間違いないと思います。
東京出張の際にはねだって下さい。ご馳走させて頂きます。
背開き腹開きについては、その他にも諸説あるようです。
見た目を大切にという事で江戸では形が崩れにくい背開き、関西
では効率の良い腹開きを採用したという説があります。
私的にはどうもこの説がしっくりときました。
ところで、鰻の旬はいつかご存じですか?実は今からの時期です。
天然鰻は、冬眠や産卵で栄養を溜め込む必要がある秋から冬に
掛けての今からの季節が旬になります。
「土用の丑の日」があるので夏場だと思いがちですが、夏場にも
皆が鰻を食するようにと江戸時代に平賀源内が仕掛けたという説
があります。
このまま続けると鰻屋さんの内定式のようになってしまうので少し
話題を変えますね。
今年は春先からコロナ禍で大きく世の中が変わり、毎日の感染者
数や自粛要請の話題で気が付くともう十月になっていました。
例年ですとここから時間が急速に加速し師走が来て、クリスマス、
仕事納め、そしてお正月です。
皆さんもご存じだと思いますが年が明けると関西では商売繁盛を
祈願した十日戎があります。
エクステックも毎年欠かさずに今宮戎神社にお参りしています。
お参りした際には縁起物の商売繫盛の福笹を授かります。
実は関東にも同じように商売繫盛を祈願した行事があります。
酉の市といって今年は11月2日、14日、26日に開催されます。
酉の市での縁起物は福笹ではなく熊手です。
私も大阪出身で『酉の市』を知らなかったのですが初めて熊手を
買った時に、これは粋だなと思った買い方がありますので少し
ご紹介しておきます。
酉の市が開催される神社は各地域に幾つかあります。
エクステックは浅草にある鷲(おおとり)神社にお参りをしています。
初めてお参りをした時は一番人手の多い時間帯にお参りをし、
大変な事になりました。
駅を降りてから沿道に並ぶ沢山の屋台を見ながら縁日気分で
歩いていくうちにどんどん人の渋滞に巻き込まれ気が付けば
身動きが取れない状態になっていました。
少し進んではというよりは前の人との感覚を無理やり詰めて
少しずつ前に進んでいるという感覚でした。1時間以上はその
状態が続いたと思います。
人の波に従い狭い神社の入口を抜けてもやはり人、人、人です。
でも境内に入ると両側には「熊手」を売るお店がずらっと並び
ライトアップされた熊手が映え、お店の人達の威勢のいい声で
活気付いていました。
悩みに悩みこれにしようと決め、ここからが粋な熊手の買い方
です。
まずは気に入った熊手の値段を聞きます。
すぐにその言い値で買うのではなく値段交渉をして値切ります。
値切りはもちろん大阪あるあるです。お店の人もそれなりの
交渉には応じてくれます。
ここから「大阪にはないない」粋な熊手の買い方です。
例えば、1万円の熊手を7千円に値切ります。
この後どうすると思います?
値段交渉が成立したら1万円のお金を渡すのですが、その
値切った3千円のお釣りを頂かずに「ご祝儀です。」とお金を
受け取らないのが粋な熊手の買い方のようです。
これで終わりと思いきや。
お店の人が、「ご祝儀頂きました。」との一声でそのお店の
人達が集まってきて商売繁盛の手拍子と掛け声で手締めを
してくれます。これは粋だな!
「てやんでぇ」の江戸文化に少し触れたように思いました。
鰻の調理法や十日戎、酉の市、それ以外にも大阪、東京と
いう括りで比べてしまうものは沢山あります。
私たちの日常会話の中でも『大阪は』、『東京は』と自分の
立場でみて一括りにして話しをしてしまう事は少なくありま
せん。例えば、
東京の人は冷たい。
大阪のおばちゃんはうるさくてしつこい。
これが隣国の中国や韓国の話しになるともっと一括りにして
露骨に嫌がる人もいます。
もっともテレビで韓国や中国の人のインタビューでも日本に
対する意識も同じように思っていると感じる事もあります。
どうしてもそれぞれ自分の立場で見てしまいがちになりますね。
本当に、東京の人はみんな冷たい?
本当に、大阪のおばちゃんはみんなうるさくてしつこい?
本当に、中国や韓国はみんな嫌な人?
当然ですがそうではありません。
一括りにしてしまうのは、得てしてその地域や国の情報が
自分の中に少ない時になりがちです。実際に住んでみて、
色々な事が理解できると発言内容は変わると思います。
一括りにして物事を見てしまうと損をする事はあっても
得をする事はありません。
これから皆さんは益々グローバルの時代に入っていきます。
決めつけない、
自分で実際に触れてみる、
感じてみる、
良いものは取り入れる、
悪いものは変えていく、
という習慣を意識して下さい。
そうすれば、新しい発見があり、自分自身に得る経験や
知識、人脈も増え、ドラマのようにピンチになった時には
周りが助けてくれます。
皆さんが色々と勉強をしてきた学生時代は準備期間のような
もので、これからが実践で自分自身を磨き、試し、自分の夢
を追う時間です。大変な事もありますが無駄な事は何一つあり
ません。
物事を一方方向から見て決めるのではなく、色んな方向から
みて、聞く耳を持って、そして柔軟な判断や行動が出来る大人
になって下さい。
これを持ちまして簡単ではございますが私の内定式のご挨拶と
させて頂きます。本日はおめでとうございます。