IT業界にいると私たちは”クラウドサービスを提供しています”のひと言で会話が成立します。どのようなものかを、技術の詳細とまではいきませんが、概念を理解しているので基礎用語として扱うことができるのですよね。今や当たり前のように私たちの日常にあるものでもありますが、改めて「クラウドサービスってどんなものか説明できますか?」
物事を説明するときにはポイントがあります。相手がどれくらいの知識を持っていて、会話の中でどの程度まで理解してもらえばいいのかを設定して、端的に伝えること。例えば、ITが苦手で馴染みがなく、そもそもどういうものなのかまったく分からないユーザにはどのように説明すればよいでしょうか。
クラウドサービスとは、インターネット上で利用するサービスのことです。パソコンやタブレット、スマートフォンなどでご覧いただいているWebページからアクセスしていただけます。データをインターネット上に保管するため、物質的な管理をする必要がなくコストを削減できます。
いかがでしょう。クラウド技術に詳しい方からすれば「物足りない」と言われてしまうかもしれませんね。でも、これでよいのです。お相手は「技術を知りたい」わけではなく、「それって何?」と思っているだけなのです。
「この花って何?」と聞いて「それはカタバミです」とだけ答えたらいいところを、続けて「学名ではオキザリスと呼ばれており、シュウ酸によるわずかな毒性があって羊が食べると腎臓障害を引き起こすことがある。水であく抜きすれば茎も葉も天ぷらやお浸しにして食べられて、錆びた10円玉を葉で磨くとピカピカになる。鞘状に実り弾けると非常に遠くまで種が飛ぶ特性があり繁殖力が強いため、日本では家紋のモチーフとして使われていた。花言葉は……庭での駆除方法は……分布は……」と矢継ぎ早に言われてしまうと、ちょっと困りものなのです。人によっては興味を持っていただけるかもしれません。そしてこの内容はひとつの花について特化した説明になっていますが、我々が伝えなければならない内容は「クラウドサービス」という用語の先にあるシステムの中身なのです。
説明すること、伝えることの先には「目的」があります。目的を忘れて話すことに夢中になってしまうと、聞く相手の集中力も続きません。説明のポイントを踏まえた上で、「何のために伝えるのか」ゴールを見据えて、話ができるといいですね。
(2024年7月3日 杉本)