ある青年の生き方

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ひとり先日見た夕日に染まる明石海峡、ツラい事があるとよく行っていた場所で
瀬戸内の美しい景色にいつも癒されていた。
自然は時に優しく時に厳しくもある、良い時も悪い時もありのままの自分を全て
包み込んでくれる。

去年の誕生日、僕はひとり医師から告げられた。

スキルス性胃ガン、ステージ4、腹膜に転移手術不可能、余命3ヶ月長くても年内
いっぱいの命

ガン告知されたが驚きはなく死への恐怖もなかった。それくらい肉体的な症状が
すでに現れていたし何より精神的に追い詰められていたので毎日が辛かった。
そんな日々から解き放たれたような、楽になれたと言うか安堵感の方が大きかった
気がする。

そして、抗がん剤治療に入るのか緩和ケアだけをして寿命を全うするのか選択を
迫られた。正直、自分の人生に未練はなかったし、このまま3ヶ月で死んでもいいと
当時の僕は思っていたので緩和ケアを選んだ。

しかし、ドクターが「この先死ぬまでに心境や考え方の変化があるかもしれない中で、
もしその時、抗がん剤治療して少しでも寿命を延ばせば良かったと思っても遅いから
とりあえず、副作用はあれど抗がん剤治療をした方が良いかと、止めることはいつでも
できるから」と説得された。
そんなドクターの熱意もあって、とりあえずは抗がん剤治療を開始することに決めた。

病院の帰り道、気が付けば海岸に佇んでいた。とても、美しい瀬戸内の夕日が全てを
優しく包み込んでくれた、、、、そんな気がした。

一年前のあの時と変わらないきれいな風景がそこには広がる。

そして日は昇り日はまた沈む、大自然の営みの中のちっぽけな自分に気づかされた。

続きはまた次回に

彼は私が通うスポーツジムのインストラクターでした。
この記事の投稿は、彼の誕生日の翌日2014年5月8日です。
しかし、続きを記すことなく先月7月11日、37歳の若さで旅立ってしまいました。
昨年の9月に彼が原チャリで北海道1周をすると聞いたので、私達もFacebookを始め
彼の動向を見守っていました。
今年に入ってからも東海、北陸、中国地方などを巡り、各地の写真とコメントを投稿して
いましたが、その様子はこの世との別れを惜しんでいるようにも見受けられました。
コメントはいつも淡々と各地の様子を伝えるだけで、自分の内面をさらけ出したりすることは
ありませんでしたが、私達は彼のあきらめないで一生懸命生きる姿に勇気づけられ、時には
自分の人生についても考えさせられました。

昨今のニュースでは、自分の命も他人の命も瑣末に扱う事件が次々と流れてきます。
自分の身勝手な考えで他人の命を奪うなんて、とても腹立たしい限りです。
もう少し、相手の立場でものを考えたり相手の立場をおもんばかる余裕があれば
少しは住みやすい世の中にならないかなと思うのですが。。。。。

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