その八
東京リーダー K. I. n.
I「だんだん書くことがなくなってきました」
n「はじめっからないでしょう」
I「9月は特に話題が見つけにくいですね。」
n「10月よりはましかもしれませんよ。
新学期とかありますし。」
K「新学期と言えば、大きな鞄を抱えた学生たちが
電車に乗ってくる季節ですね。」
I「あれだけの教科書を鞄に入れて持ち運ぶのは
さぞ大変でしょう」
K「教科書はまだタブレット端末とかになっていないんでしょうか」
n「政府は、2020年までにすべての小中学校全児童生徒に
デジタル教科書を配布することを目標にしている
(2012年6月5日 – Yahoo!ニュース(MarkeZine))」
そうですよ。
K「これで鞄も少しは軽くなるということですね。」
I「そうすると少し困ることが。」
K「なんでしょうか」
I「アニメの作画技術が後退したりしないでしょうか。」
n「え?」
I「教科書と言えば、ページの端にパラパラ漫画を書くものです。特に厚みのある国語や社会の教科書は、貴重な素材でした。」
I「そうやって皆アニメの動きを学習していた訳です。タブレットになるとパラパラ漫画が描けないでしょう?」
K「あなたは授業中にそんなことばかりしていた訳ですね・・・。」
n「それに今のアニメーションはCGかなにかで作画しているんじゃないでしょうか。」
I「いや、でもですよ、教科書に落書きは必須です!」
I「そこでです!」
I「落書き用アプリを開発する訳です。」
K「うー。」
n「そんなものをどのように販売するつもりですか。」
I「学校の前で販売するんですよ。お小遣い程度の金額で」
「君たち、教科書に落書きしてみたくないか。」
え、そんなことできるの。
「ほら、どうだい。面白いだろ。今なら100円だよ。」
えー。そんなに安いの。
でもいくらタッチパネルだからって、指先じゃ絵を描きにくいや。
「そんなときは、ほら、このペンを使うんだ。
今回はサービスだ。ペンはタダであげよう。」
わーい。
・・・・
おじさーん。タッチペン折れちゃったよ。新しいのちょうだい。
「いいよ。100円だよ。」
「そうだ、ぼうや。今度、みんなが作った落書きのコンテストをやるんだ。
優勝すると賞金1万円だよ。是非参加してね。」
うん、がんばるよ。
・・・・
おじさん、コンテスト準優勝だったよ。賞金も5000円貰っちゃった。
今度は優勝目指してがんばるんだ。
おとうさんやおかあさん、学校のみんなも応援してくれてるんだ。
だから新しいペンをちょうだい。
「ぼうや、いつもありがとう。
実はね、いつも使ってくれてるペンが壊れやすいので、
こわれないペンを作ったんだ。
みんなには秘密だけど、今回コンテストで優勝した子もこれをつかってるんだ。」
えーほんと!是非それをちょうだいよ。
「いいとも、5000円だよ。
なあに、優勝すれば1万円だ。安いもんだろ。
それにもうペンを買い直す必要もないから、儲かっちゃうよ!」
うん・・・。
I「ということで、チャリンチャリンですよ。」
n「子どもの頃、学校の前に怪しげな実験器具を売ってましたけど、更にいかがわしいですね。」
K「だめでしょう、これは。」